好きとごめんのその先に


「―――そうだったのか…」



一通り、さっきの出来事を彼に話した。



胸は痛んだけれど、不思議と涙は出なかった。




「…辛い思いをしたな」



コトンとマグカップをテーブルに置いた忠見さんの眉尻が下がる。



ふわっと、コーヒーの苦い匂いが漂った。



そのオトナな香りは、決して嫌いじゃない。



…でもやっぱり、甘酸っぱいオレンジが恋しい。
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