好きとごめんのその先に


「夕梨亜」



前から、すっと手が伸びてきた。



手がマグカップごと、そっと彼の両手に包まれる。





「俺だったら、そんな悲しい思いはさせない」




途端に、まっすぐな視線。





「もう、…俺のところに来いよ」




言葉を続けられ、無意識に体に力が入ってしまう。



忠見さんの真剣な瞳に、今にも泣きそうな自分が映った。
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