好きとごめんのその先に
「ゆりちゃん!」
教室を出てすぐ、響き渡ってきたわたしの名前。
その大きな声は、紛れもなく奏多のもの。
廊下にいるみんながまた笑っている。
「……ちょっと…恥ずかしいんですけど」
「え?あ、ごめん。つい」
呆れ顔のわたしとは反して、てへっと笑いながらごまかす奏多。
その表情が可愛くて、やっぱり何も言えなくなってしまう。
…文句言ってやろうと思っていたのに、一瞬で負けた。
悔しいけど、会えるのを楽しみにしていた分の方が大きい。