好きとごめんのその先に
引き裂く事実


―――



奏多のいない日々が、6日経った。



平日も休日も忠見さんと過ごし、週を明けた今日は月曜日。



卒業式を明日に控えた、いわゆる“高校生活最後の日”。




「行ってらっしゃい、気をつけて」


「行ってきます」



張り合う相手がいないからか、穏やかな視線でわたしを見つめてくれる忠見さん。



触れる唇も前より優しくなった。



この瞬間、わたしは何も思わず、起きることに身を任せるまま。



…こんな朝に、なんだか少し慣れたような気がする。






今日も、奏多は迎えに来てはくれなかった。




…もう、本当にダメなのかな。



わたしはこのまま卒業してしまうのだろうか。




最後にちゃんと話しておきたかったな。



遠い存在になってしまった奏多を、目に焼き付けておきたかった…
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