好きとごめんのその先に
並木道を抜けて、通い慣れた校舎。
校門に立つ大きな桜は、もうちらほら咲き始めている。
…入学式の頃には、散ってしまうのかな。
なんてことを考えるのは、3年前のその日は満開だったから。
あの華やかしい日に、奏多はわたしの前にいた。
わざわざここまで、“おめでとう”って言いに来てくれたんだっけ。
あの時の奏多の笑顔も、満開だった。
「懐かしいな…」
そう1人呟き、下駄箱へ。
靴を履き替え、教室へと向かう。
廊下にいる生徒たちはみんな、携帯を片手にざわざわ。
その視線がわたしに向けられていると感じるのは、きっと自意識過剰かな。
それ以上特に気にすることもなく、自分のクラスへと歩いた。