好きとごめんのその先に


「………」



あまりのことに、言葉が出ない。



一体誰がこんなことをしているのだろうか。



誰にこんな写真を撮られてしまったのだろうか。





「…こんなの、嘘だよね?…きっと誰かのイタズラだよ」



手早く携帯を仕舞うエナちゃん。



気遣ってくれるその笑顔は、今日は少し引きつっている。




「…気にすることないよ。だって、こんなのあり得ないでしょ…?」




…あり得ない。



そう言えたらいいのに。



そう、言えばいいのに。





「……あ…いや…」



肝心な時に嘘をつけない自分が、つくづく嫌いだ。
< 304 / 428 >

この作品をシェア

pagetop