好きとごめんのその先に


わたしたちの会話を聞いていたクラスメイトたち。



わたしが頷いた瞬間、教室中がざわめいた。



「マジかよ」


「この男、年上じゃね…!?」


「葛原くんって、あの2年の彼氏のことだよね…?」


「あのよくホームルーム中に入って来る子でしょ?」


「そうそう。…佐伯さんがあの子を誑かしてるってこと?」




口々に容赦なく出るみんなの言葉は、全部耳に入ってくる。



わたしは、“二股をかけた女”という、みんなの興味の対象でしかない。




「夕梨亜ちゃん……」



エナちゃんは、そんな言葉に耐えるわたしを心配そうに見ていてくれた。




……正直、辛い。


最後の日に、こんな仕打ち…




…だけど、絶対に逃げてはいけない。



それ相応のことを、わたしはしているんだから。



きっとこれは、その報い。
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