好きとごめんのその先に
目を閉じて息を吐いた。
平常心を保ち、みんなの視線が集まる中、口を開いた。
「……それ全部、事実だよ」
心を押し殺して、一言。
「わたし、婚約者がいるの」
そう続けた。
「え…!?何それ…!?」
「どういうこと!?」
「葛原くんがいたんじゃないの…!?」
「本当に二股をかけていたってこと!?」
当然の如く、またざわめきだすクラスメイトたち。
きっと、出てきた“婚約者”というワードに、もう面白くてたまらないのだろう。
いつの間にか、教室前の廊下にも人が集まっていた。