好きとごめんのその先に


「…今更そんなこと言ったって、前からずっと決まっていたことじゃん」



なんだか無性に腹が立ち、強い口調で言った。



これじゃ、逆ギレだ。



今まで放っておきながら、結局はわたしだけが悪いのかって、ついには居直る自分は、奏多の言うとおりズルい女だ。





「わたしは、忠見さんの婚約者だよ」



奏多から視線を外し、言葉を続ける。



「違うだろ」



即座に返ってきたのは、否定の言葉。





「ゆりちゃんは俺の彼女だろ!」


「……!」



更に強くなった奏多の声に、無意識に視線を戻してしまった。



わたしをまっすぐ見つめる瞳に、こんな時にまで胸がときめくなんて。





…いい加減、こんなわたしを突き放してくれればいいのに。
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