好きとごめんのその先に
「……そこまで」
ふと、制する声が聞こえた。
「高山ありがとう。もうそれくらいでいい」
じっと話を聞いていた奏多が、そう言いながら教室に入ってくる。
「要するに、俺たちはコイツの嫉妬の罠にまんまと嵌められたってことだ」
「え…」
…わ、罠って…
「もう気が済んだだろ。
…お前だって、好きでもない男とキスしたんだ。ゆりちゃんのことを責められる権利はない」
「……」
奏多の強い言葉に、高山さんの眉がピクリと動く。
不貞腐れる表情は、さっきと変わらない。
「チッ…」
僅かな沈黙に響く舌打ちが聞こえたかと思えば、
「…何なの、一体。…結局あたしが悪いってこと?
そうよ。葛原くんのことなんて、好きでもなんでもないわ。バカみたい」
鼻で笑った高山さんが、再びわたしにつっかかってくる。
「…あたし、あなたのことを許す気はないから」
そう言い放ち、走って行ってしまった。