好きとごめんのその先に
「…じゃ、この話はもう終わりってことで!」
「…え?」
突然、ぱっと雰囲気を変えた奏多。
さっきまでの悍ましい表情から180度一転、いつもの無邪気な笑顔。
「ゆりちゃんだって俺だって、望んでこんな状況にいるわけじゃないんだ。俺たちは俺たちなりの恋愛をしているんだよ」
「……」
「……」
「……」
奏多の言葉に、気まずそうなみんなの口が開かない。
「もしまだこの話をする人がいたら、今度は俺が許しませんからね!」
そう言って、みんなに向かってにっこり笑った。
……さっきの冷たい表情よりも、そっちの方が怖いと思ったのは、きっとわたしだけではないはず。
「ゆりちゃん、行くよ」
「え!?」
ふいに左手を掴まれた。
「行くって、どこに…!?」
「いいから」
みんなの困惑の視線が集まる中、問答無用で引っ張られる。
教室を出る間際に見えたエナちゃんは、何かを悟ったように微笑んでいた。