好きとごめんのその先に
「……っ」
途端に包まれた温もりに、ふっと心が落ち着く。
わたしを抱きしめてくれるその腕は、少し懐かしくも感じてしまう。
「…わかった」
耳元で、穏やかな声。
「無理な笑顔も、…不必要な“ごめん”も、そんなのいらない。
ずっと…その言葉が聞きたかったんだ」
「……、」
その言葉、…それは“好き”。
“ごめん”じゃなくて、“好き”の2文字。
そんな簡単な言葉も言えなかったなんて。
臆病だった少し前の自分に、いま、言ってやりたい。
…“言ってもいいんだよ”……って。