好きとごめんのその先に
終わりの日


わたしの家まで、徒歩15分。



そんな短い距離が、今日はとても名残惜しく感じる。



心無しか、ゆっくり歩いてしまうわたし。



奏多は何も言わずにちゃんと合わせてくれる。




「明日は卒業式だな…」


「…うん」



“卒業式”という言葉に、ドキッと胸が鳴った。





「あーあ、来月からはゆりちゃんと一緒に通えないのか…」



突然そんなことを呟いた奏多。



「当たり前でしょ」



思わず笑ってしまった。




「寂しいなー…」



眉尻を下げて泣くフリをする奏多。




こんな恒例の光景が久々すぎて、なんだか嬉しさで胸いっぱい。




改めて、奏多が隣にいると安心するって、思う。



当たり前のように奏多の隣にいた日々が、ものすごく幸せだったって、そう思う。
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