好きとごめんのその先に
ゆっくり歩いても、やっぱり家は近かった。
まだ5分も歩いていない気がするのに…
まだお昼にもなっていない今、家にはパパの車も忠見さんの車もない。
「なぁ。この1週間、あいつはずっと家にいたの?」
「あ、うん」
「そっか…」
会わなかった1週間を後悔するような、奏多の表情。
「…あー…喧嘩なんかするんじゃなかった。…ほんとごめん」
今度は申し訳なさそうな顔。
笑ったり、怒ったり、しょぼくれたり。
そんないろんな顔、全部、奏多の好きなところ。
ちゃんと目に焼き付けよう。
「ねぇ奏多」
「ん?」
「ぎゅって…していい?」
「え、何。珍しい…」
わたしの言葉に、一瞬目を大きくした奏多。
返事を聞く前に、そっと腕を回した。