好きとごめんのその先に
「あったかいね」
「うん」
「…ずっとこうしていたいな」
「…さっきからゆりちゃん、どうしたの?なんか急にすごく素直…」
「本音言えって言ったの奏多じゃん」
「そうだけど」
奏多の腕も回され、体温を全身で感じる。
今まで何度もぎゅっとしてもらったけど、今が一番温かい気がする。
「いつも、迎えにきてくれてありがとう」
「ん?」
「そして送ってくれてありがとう」
「あ、うん。…え、なに?」
「感謝の気持ちを伝えようと思って」
長い付き合いの奏多に、日頃の感謝を口にする。
そんなことを予想もしていなかったのか、奏多は理解ができていない様子。
「あ、明日で最後だからってやつ?」
「まぁ…そんなところかな」
「えー?ただ学校を卒業するだけじゃん」
湿っぽいわたしを見て、くすくすと笑う。
…そう。
ただの卒業なの。
でもね、…奏多には、ちゃんと気持ちを伝えたいの。