好きとごめんのその先に


「え……?」



眉をしかめて、わたしの表情を伺おうとする奏多。




…泣いてなんかやらないんだから。



最後は笑うって、決めていたんだから。




「…っ何それ…!?
さっき、俺が好きだって言ってくれたじゃん…!」


「うん。…でももう決めたことなの」


「…なん…で?」


「パパのことが大事だから、って言えば納得してくれる?」




自分の命と同じくらいに大事なパパ。



そんな人の泣き顔は見たくない。




…でも、それだけじゃない。





強制の奥の、忠見さんを知ってしまったから。



彼自身を受け入れられる自分に、なれたから。





…そうなったきっかけが奏多だなんて、…なんて皮肉な話なんだろう。
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