好きとごめんのその先に
家の中に入った瞬間、タガが外れたように、わたしの中で何かが崩れた。
「……っ、か…なた…。かな…た…。…奏多…っ……」
愛しい名前を口にする度、こぼれ落ちる涙。
玄関から自分の部屋まで、涙の道ができた。
ベッドに倒れ込み、クッションに顔を押し付ける。
「わあぁぁ…っ、ううぅっ…」
堪えきれない思いを、その分厚い生地に向かって叫んだ。
今までの分も、これからの分も、今は思いっきり泣こう。
…明日の式で、泣いたりしないように。