好きとごめんのその先に


「あ、それから」


「?」



ひとつ終わって、言葉を続ける。




「これからは、“誠斗さん”って呼んでいい?」




“忠見さん”は、もう終わり。



自分の名前の一部になった今、姓で呼ぶなんてさすがに無理がある。



“あなた”なんて気恥ずかしい名称より、素直に名前で呼んであげたい。






「…あぁ、もちろん。…そう呼んでもらえるのを、ずっと待っていた」



そう言って、わたしを優しく抱きしめてくれる誠斗さん。



ふわりと、彼の匂い。



やっと、この温もりが安心するって思えるようになった。
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