好きとごめんのその先に
儚き繋がり
――――――
「おはよう忠見さん」
「おはようございます」
「今日もいい天気ね」
「ええ、そうですね」
家の外から、会話が聞こえる。
ゴミ出しに出て行った夕梨亜と、隣の奥様の声。
”忠見さん”と呼ばれ自然に返事をする彼女の姿に、気付けば俺の口角は上がっている。
「昨日頂いた肉じゃが、すごく美味しかったわ。ありがとう」
「本当ですか。よかったです」
「お料理上手なお嫁さんをもらって、旦那さんは幸せでしょうね」
「いえそんな、わたしなんてまだまだです」
「またまたぁ」
聞こえてくる奥様の言葉に、2階の部屋でひとり頷く俺。
家事に手を抜くことはなく、親戚付き合いも近所付き合いもうまくやってくれる妻をもって、奥様の言う通り俺は幸せ者だ。