好きとごめんのその先に
事件は突然に
それから一週間。
特に変わらない日々を過ごした。
あれからまた何度かキスを試みたものの、いつも邪魔が入り、結局まだ未遂のまま。
“俺たち、ダメなのかな…”って、奏多はさっきも落ち込んでいた。
…どうしてそんなにしたがるのかな。
焦らなくてもいいと、わたしは思うんだけどなぁ…
「ただいまー」
いつものように奏多と一緒に帰ってきた夕方。
玄関に、見慣れない大きな革靴が2組。
…誰かお客さんかな?
特に気に留めることなく、真っ先に玄関の側にある和室へ。
「ただいま、ママ」
奥にある仏壇の前に座り、手を合わせて、微笑む遺影に一言。
わたしがまだ小さい頃、ママは大病で天国に行ってしまった。
仏壇で優しく微笑むママは、まだまだ若いまま。
パパなんて、もう50歳になったっていうのに。