好きとごめんのその先に
桜舞う春


――――――



家を飛び出して、わたしは走る。



涙で目の前はかすみ、足は今にも絡まりそう。



わたしの行く先を拒むように散る桜の花びらが、今日は少し憎い。







『あの子の所に行ってこい』



そう彼に言われた瞬間、胸が張り裂けそうになった。





忘れたつもりの、あの声。



思い出さないと決めた、あの笑顔。





全部、蘇った。
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