好きとごめんのその先に
振り向いた先にいたのは、いつかの高山さん。
あの頃の厳しい目つきは、今日は見受けられない。
微笑むことはなくても、落ち着いた雰囲気を纏っている。
「葛原くんに会いに来たんですか」
「あ…うん…」
「どうして?」
「え…?」
「あなたは誠斗さんの元に行ったはず。葛原くんとは、もう終わったんじゃないんですか?」
「……」
無表情で投げかけられる言葉に、わたしはうまく返事ができない。
「彼を捨てて結婚したのに、今度は結婚相手を捨てて戻ってきたんですか?」
「…そんなこと…っ」
「ないと言えないでしょう」
「…っ」
彼女の厳しい言葉が、痛いくらいに突きつけられる。
間違っていないから、正しいから、それが胸に突き刺さる。