好きとごめんのその先に
「んー、気持ちいい…!」
眩しい春の光が差し込む、小さな明るい部屋。
カーテンをなびかせる風がなんだか優しくて、わたしを穏やかな気持ちにさせてくれる。
「ゆりちゃん!この箱はここ?」
「夕梨亜、これはこっちでいいか?」
大きな段ボールを持って、2人がわたしの名を呼ぶ。
よく晴れた春の今日は、奏多との新居へお引っ越し。
実家の隣町で見つけたメゾネットタイプのマンション。
まだ新しいようで、中も外も綺麗だし、広さも2人で住むには十分なくらいある。
わたしの荷物はそれほど多くはないけれど、男手は多い方がいいだろうからと、誠斗さんも手伝いに来てくれた。
「ありがとう。両方ともそこの棚の前に置いてくれる?」
「わかった」
5年前まであれだけいがみ合ってた2人が、今でも一緒にいるなんて、なんだか不思議な感じ。
…そっか。あれからもう、5年経ったんだ。