好きとごめんのその先に

「もしわたしがこのまま断ってパパの会社がなくなったら、パパはクビになってしまうの？他の役職に就くとか、他の支店に行くとか、そういうのじゃないの？」


「…あぁ、それは難しいだろうな。
それにこの話を断っておきながらこの会社に居座ったところで、気が引けて仕事ができないよ」


「……」



…なんて勝手な。



結局、パパが弱い立場にいるだけなんじゃない。



忠見さん側が圧力をかけてきているのか、それともパパが自ら下手(したて)にまわっているのか。



どっちにしてもこんな話、わたしにはいい迷惑でしかない。




「会社クビになったら、他の仕事をすればいいじゃん」


「そんな簡単な世の中じゃない」


「わたし、今より貧乏になってもいいよ」


「そんなの、苦しい思いをするだけだ」


「じゃあわたしが高校を辞めて働けばいい？」


「高校はちゃんと出ないとパパは許さないよ」


「…だったらわたしこの家…「夕梨亜」



何を言っても、言いくるめられてしまう。



終いには、パパは言葉を制してきた。