好きとごめんのその先に


部屋に入って、電気もつけずにベッドに倒れ込む。



我慢していた涙が勢いよく溢れ出す。





嫌だ嫌だ嫌だ。



政略結婚なんて、意味分かんない。



どうして今言うの。

どうして忠見さんなの。



どうして、パパはわたしを守ってくれないの…!?




怒りと悲しみが交差して、胸が苦しい。





「…いや…だよ…っ」



シーツをぐっと握って、唇を噛む。



じんわりと滲んできた不快な味が、嗚咽を呼んだ。
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