好きとごめんのその先に
「どうしたんだ?喧嘩でもしたの?」
奏多が不思議そうにきいてくる。
「いや…何もないよ」
一昨日から、パパとはろくに会話をしていない。
パパに腹が立ったから?
悲しくて泣きそうだから?
…どっちも違う。
…パパの考えていることが、分からなくなってしまったから。
奏多とのことを知っておきながら、どうしてあんな話ができたのか。
“話が別だ”と言ったとき、一瞬目をそらしたパパの気持ちが分からない…
「昨日も今日も、ゆりちゃん、なんだか浮かない顔してる。…何かあった?」
「……」
そっと手を繋いでくれた奏多が、わたしの顔を心配そうに覗き込んでくる。
ふいに涙が溢れそうになったのを、ぐっと噛み締めて堪えた。