好きとごめんのその先に


とぼとぼ歩いて、わたしも遅れて登校。



「遅いぞ佐伯」


「…すみません」



教室に入る頃には、もう1限目が終わりかけていた。



ふと目が合ったエナちゃんが、口パクでおはようと言ってくれる。



にっこり笑って返した。





……笑顔が、辛い。



ちゃんと笑えたかな。




奏多は今頃、何もなかったように授業を受けているのかな。




……そういえば、誕生日おめでとうって、まだ言ってないや…



会ってすぐに言わなきゃいけなかったのに。



忠見さんのことで頭いっぱいで、それどころじゃなかった。




ほんと、最低な彼女だなぁ…




……ごめんね、奏多…
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