好きとごめんのその先に
「ゆりちゃん!!」
校門を出てすぐ、奏多の声が聞こえた。
考えるよりも先に体が後ろを振り返る。
「…っごめん、遅くなって。教室に行ったらゆりちゃんもういなかったから焦った…」
「…ご、ごめん」
走ってきてくれたのか、少し息があがっている。
ホームルームが長引いた、と、まるで何事もなかったよう。
「帰ろう」
そう言ってわたしの手を引いてくれる。
…きっと奏多も、わたしに気を遣ってくれている。
ずいぶん前に、奏多の担任が職員室に入るのを見たよ。
しばらく悩んで、それで来てくれたんだよね。
…でもそんな気遣いが、今は嬉しい。