好きとごめんのその先に
「ねぇ、今日パパさんは休み?家にいる?」
「うん。?」
咲いていない桜並木道で、奏多がわたしにきいてきた。
「パパさんと話がしたいんだ。お邪魔してもいい?」
「あ、…うん」
話って…?
「はは、心配しなくていいよ。別に何も悪いことを言うつもりはないから」
眉尻を下げて、奏多は言う。
ふはっと笑ったその表情は、今日は初めて見た。
ふいにぎゅっと締まる胸が少し痛い。
並木道を抜けて、角を曲がる。
「あれ…?」
家の前に、黒いスポーツタイプの車。
「誰か来てるみたいだね」
「う、うん…」
もしかして…
嫌な予感がしながら、とりあえず玄関を開けた。