好きとごめんのその先に
奏多との出会いは、10年前。
『わぁ、あたらしいおうちだ!きみのいえ?』
『??』
この町に引っ越してきたその日、新しい家の前で、突然わたしに話しかけてきた男の子が、奏多だった。
『きみ、なまえは?』
『…さえき…ゆりあ…』
『じゃあ、ゆりちゃん、だね!
おれは、くずはらかなた!よろしく!』
『…よろしく』
『ゆりちゃん!おれたちこれからともだちだからね!』
『ともだち…?』
『うん!これからずっと、いっしょにいようね!』
そう言ってわたしの手をとってくれた彼の、屈託ない笑顔がとても印象的で。
幼いながらもその瞬間、“大人なってもずっと一番近くで見ていたい”って、そう思った。