好きとごめんのその先に
父と母と娘
その日の、もうすぐ明日になるという頃、布団の中で携帯が震えた。
眠りかけていた目をあけて、受信したメールを開く。
…ぞくりと、体が一瞬冷えた。
“明日は仕事が早く終わるから、お邪魔させてもらうよ。放課後はまっすぐ帰ってきてほしい”
そう送ってきたのは他の誰でもない忠見さん。
わたしのアドレス、パパが教えたのか…
布団から出て、階段を降りてリビングへ。
「パパ。明日忠見さんが来るって………、…あれ?」
いるはずのパパの姿がない。
…っ、……っ、…っ
…和室の方から何か聞こえる。
鼻をすするような、そんな音。
静かに歩いて行き、和室のふすまを少しだけ開けた。
……パパ…?
仏壇の前に、背中を丸めて座るパパがいた。