好きとごめんのその先に
「俺、父親失格だよな…。あの子を産んでくれたお前に申し訳ないよ」
涙を止めることなく、パパは続ける。
「最低だと罵ってくれてもいい。
…だけど大変お世話になった先輩の話は、断ることができないんだ…」
そんなに大きな人なの、忠見さんのお父様って…?
…あぁ、そういえば、前に聞いたことがある。
前の会社でリストラに遭ったパパを、自分の会社にと誘ってくれたのは、忠見さんのお父様だと。
今でこそ子会社を任されるまでにはなったものの、その仕事があるのはその人のおかげだから、足を向けては寝られない、って。
「…俺が敵である代わりに、リサは夕梨亜を見守っていてやってくれ」
「……」
パパがそう言っても、ママは何も答えない。
頷くこともなく、ただただ柔らかに微笑むだけ。
……そっか。
パパ、本当はそう思ってくれていたんだ。
でも本心は後悔していることを知ったって、そのパパがこの話を断れないんじゃどうにもならない。
結局、状況が変わることはないのか…
…だったらもう、わたしが腹をくくるしかないのかな。