好きとごめんのその先に
「奏多くんにも、迷惑かけてしまっているな…」
パパがまた、ポツリと言った。
本当に申し訳なさそうな、そんな表情。
きっとこの表情が本心。
忠見さんの前でのパパは、悪者を演じているだけなのかもしれない。
「奏多とはちゃんと話したよ。…待ってるって、言ってくれた」
さっき、涙ながらに頷いてくれた奏多。
嫌だと言い張ることは、いくらでもできる。
大きなことを言えば、駆け落ちだってできないことはない。
だけどわたしにとってパパが大切な存在なのを知っている奏多は、それを思って受け入れてくれたに違いない。
…そんなことからも、本当にわたしを大事にしてくれているんだなって感じる。