好きとごめんのその先に


―――……どうして、帰らないの。



ちゃっかりお風呂まで入って、一体どういうつもり…?



「もしかして、…泊まるの?」


「あぁ。パパさんに許しはもらっている」



わたしは何も聞かされてないんですけど。



「…まさかここで?」


「他に部屋がないって、パパさんは言っていた」


「……」



…まぁ、それはあながち間違いではない。



和室以外は、仕事の資料とか大事なものを置いているから他人は入らせないって、パパはいつも言っているし…



かといって和室でママと2人きりにさせるのも、なんだか気が進まない。



「…じゃあ、リビングで寝れば」


「俺に風邪をひかせる気か?
…まぁ、寝込んでこの家でお世話になってもいいんだがな」


「……」




…あぁ、疲れる。



きっともう、この人には何を言っても無駄だ。



何をするか分からないし、目の届くところで居てもらう方が、まだましなのかもしれない。
< 89 / 428 >

この作品をシェア

pagetop