好きとごめんのその先に
「眠れなかったのか?」
「…う…ううん」
眠れなかったわけじゃない。
奏多からのメールがきたときに一度起きたけど、その後は朝まで眠れた。
「…そうか。…だったら…パパの顔を立ててくれないか?」
「え…」
何とも想定外のパパの言葉に、今度はわたしの目が見張った。
「夕梨亜が誠斗くんのことをよく思ってないことを忠見先輩が知ったら、パパの立場がなくなるかもしれないんだ…」
「……」
…なんて身勝手な。
娘のことより、自分のことなんだ。
パパは分かってくれると、そう信じたから、余計に悲しい。
“何かあったら言え”って、言ってくれたのに。
…こんなことを言われてしまうのなら、相談しなきゃよかった。
……って、思うのに。
「……分かった」
受け入れてしまう自分はどこまでも情けない奴だ。