Re:alism
「…別に俺は口出ししないよ。そんな出来る立場でもないし」


「なら…」



「でもあいつだけは止めとけ」



真剣な表情で私を見上げるお兄ちゃん



「あいつだけは…沢瀬祝詞だけは関わらない方がいい」



それが逆に苛立った



「…祝詞さんは良い人だよ…とても優しいし…何も知らないお兄ちゃんに何でそんなこと言わ…」


「何も知らないのはお前の方だよ!!」



ビクッ と肩が震えた


「…とにかく…そういうことだから」



その後静かに席を立ち、お兄ちゃんは階段を上がっていった



「…どういうこと…よ…」



私は畳んで置いてあった寝間着と下着を取り、風呂場に向かった



“何も知らないのはお前の方だよ!!”


先程の言葉を思い返す



…お兄ちゃんは、祝詞さんの何を知ってるのだろう


普段私と接しているあの祝詞さんは偽者だって言うの?



…それなら本当の祝詞さんって、どんな表情をしているの…?



「…祝詞さん…」



会いたい


祝詞さんに会いたい



本当の彼の表情を見てみたい



彼の…



全てが知りたい…。



< 104 / 109 >

この作品をシェア

pagetop