Re:alism
「…そうだ…ポケット…」



衣服を洗濯機に放り込もうとしたとき、祝詞さんの言葉を思い出しポケットを弄った


今日は特に何かを入れた覚えはないが念の為…


「…あった…」


記憶上あるはずのない何かがポケットの中にあった



それを取り出してみる


…と、小さなダイヤみたいなのが入っている綺麗な指輪だった


それに添えられている紙切れを広げてみる


“一日遅れのHAPPYBARSDAI!ということで、プレゼントね!いつか本物渡すから。じゃー☆”



「プッ…綴り間違えすぎ…何歳だよもー…」



でも


嬉しすぎて



「あ…」



涙が溢れた



…私の知ってる祝詞さんはこんな人で


お兄ちゃんの知ってる祝詞さんはきっと正反対で…


…このままの関係が



私達にとって一番良いのだと、指輪を見つめながら思った



───その次の日の朝、お兄ちゃんは家を出て行った


「好きすぎてごめん」



そう私に言い残して───


そして夜、いつものように祝詞さんから電話が掛かってきた


『そっか…とうとう帰ったか奴は…』


やっぱり敵対心むき出し。


「うん…───あっ…ねぇ、」


『んー?』


“あなたの本性が知りたいの”



…心の中に湧いた言葉は



「…何でもない…」



決して口には出なかった───



『…俺さぁ…美の兄ちゃ…てか咲田晄のこと昔から嫌いでー』


「えっ…急に何を…」


『一昨日の夜、美が泣いて俺ンとこ来て理由聞いたとき…


次会ったら殺そうと思った』


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