Re:alism
彼のホントウ
あれから数日後


今日は祝詞さんの家で夕食をご馳走になる日だ。


…って、どうせまた私が作らされるんだろうけど…。



部活帰りの足で、まっすぐに祝詞さんの家へと向かう。



途中、『ごめん!ちょい遅れる;;』とメールが入っていた



「…ちぇ…。」


少しだけ寂しいけど、早く来てくれることを期待して。



────カチャ


「お邪魔しまーす…。」



いつかメールで“いざと言う時のために”と、鍵の場所を教えてもらったことを思い出した私は、

ポストから鍵を取り出し中に入った。



────不法侵入って近所の人に思われないかな?


「────…祝詞さん、早く来て…;;;」



靴を脱ぎ、とりあえず居間に入る


そして、することがないのでテレビを付けようとしたが、リモコンがなかった



「あれー…?」


テーブルの下、テレビの上、どこを探しても見つからない



…というか、リモコンの他にもあまり“物”がない。



「…また“大掃除”したのか…」



祝詞さんは綺麗好きなので、毎日の掃除は勿論のこと、たまに“大掃除”と言って部屋中の物を大移動することがある。


本人は動かした物の場所をちゃんと把握しているみたいだけど、私は毎回…まるで模様替えしたかのように違う風景の部屋で、たまに祝詞さんの家と違って見えることがあるんだ。


唯一動かさないのはテレビやタンスくらい。



これが週1のペースで行われていて、私の訪問回数と比例しているもんだから驚いて当然だ!と思う…



「あっ!あった」


部屋をあさりまくってやっと見つけたリモコンは、何故かタンスの上から3列目に入っていた


…何でもありだなぁ本当…


< 107 / 109 >

この作品をシェア

pagetop