Re:alism
「…返事…来ないなぁ…。」



時計の秒針は、先程からまだ3周しかしていない。


それなのに私は携帯を目の前に、本日二度目の睨めっこをしていた。



この秒針の地道な動きも、私にとっては永い時間を掛けている様に思える。



───今回は時間との闘い。



先輩からの返事を、睡魔に気を取られることなく待ち続けていた。



「…まだかな…」


自分で“いつでもいい”って言ったくせにね。


「…返事来なかったらどうしよう…」


そしてまたマイナス思考に…。



「もしかして面倒だからって無視されてるのかも…でもこの時間ならもう寝て…でももし無視されてたら、これからもメールとか続────」


+と-をさ迷っていると、待ちに待ったメールが届いた。



私はこれまでの思考をサラッと流し、すかさず携帯を取り慎重な指でキーを押す。


ドキ…

ドキドキ…


「────て…」



やっと現実を受け入れる覚悟が決まり、メールボックスを開いたというのに


先輩のアドレスが登録してあるはずの“先輩フォルダ”ではなく、メインフォルダに示された新着メールのマーク。



「…。」


─────アドレスは、またいつもの迷惑メール。


今回は本気で思う。


これは他でもない、“KYメール”だ、と…。

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