Re:alism
ワックスをつけているのにサラサラな髪


黒髪がよく似合う輪郭


透き通った瞳に…


長い指。



素敵な要素を兼ね備えた、さわやか系なイメージ。



…この人が…


あんな会社で働いてて、あんな性格だなんて信じられない。



「ねぇ“ハル”」


急に目の前に現れた、先ほどの瞳。


また気を奪われそうになった。


「何ですか…っ」


一歩後退りすることでそれを防いだ。



「…あんた、女子高生だったんだぁ。ふ~ん…。」



ジロジロと、私の全身を上から下まで見渡している。


身長がないので往復回数が多い。


「…何だと思ってたんですか。」


私は、自分の身体に自信がない分恥ずかしくて背中を向けた。


その途端に、私が気付かない内に制服のポケットから携帯が落ちた。



「何って…ただのバカ?」


後ろから鼻で笑う声が聞こえる。



「…だからあれは間違えて────」


「じゃ、行こっか。」


「えっ?!」



噛み合わない会話の途中で腕を掴まれ、グイッと引っ張られた。


力が強くて抵抗のしようがない。


「行く…てっ、どこに…?!」


「そりゃあ───…ねぇ?」


振り返り、不敵な笑みを浮かべた。



「────あ、そういえばこれ。」


思い出した様に顔をハッとさせ、目の前に差し出したのは私の携帯。


「え…何っ───」


「さっき落としたんだよ。気付いてなかったみたいだけど?…はい。」


「…あ…りがと───」


「いーえ♪てことで行こ。」


「えっ…ちょ…」


…だから嫌だったんだよーっ(泣)


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