Re:alism
「じゃ行こっか。」


男の人は立ち上がり、扉に向かっている



「…あの…」


「大丈夫だよ。社員帰っちゃったから誰もいないし。」


「…じゃなくて────…いつも…その、メール…迷惑メールくるんですょ、携帯に…この会社から。だから…止めてほしいんですけど…」



男の人はキョトンとした表情。


「…あぁーだからメール間違えちゃったんだ?」


「まぁ…」


私は下を向いた。


「それは悪いことしたね」



…あれ?


謝っ…────もしかしてこの人、メールと違って本当は善人なんじゃ…


「…いえ、そん───」


「でも無理。」



…は?


私は驚き、再び視線を上げる。


「だって“いつも”メールくるんじゃ…もうメアド、インプットしちゃってるってことだよ。送ってンの俺じゃないし?」


「そうかもしれ…ないけど、───…そこを何とかし…」


「無理。」



…最悪だ…


とりあえず前言撤回しておこう…。


「それに俺今年入社したばっかだし。新入社員はそこまで権限ないんだよ…───まぁあのメールは面白そうだったから内緒で返したけど。」


人差し指を口の前に立て、“シー”という形を作っている。



「…そうなんですか…えっ?新入社員って…何歳ですか?」


「気になる?さて、いくつでしょう?」


ニコニコ…妙に笑顔なのが怖い。


場合によっては後が恐ろしい…っ!!


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