Re:alism
彼の冷たい指先が、私の太股の少し上に触れた時、ようやく理解した。


…これはヤバい、と…。



「止めてくださいっ!!」


私はその手を振り払い、すぐに距離をとった。


「何で?」


「何でって…嫌だからです!!」


「何で嫌なの?」


「…何…そりゃあ嫌ですよっ…私…その、自信ないし…自分に。それに…そーゆぅの知らないし…」


いつもの私


代わり映えのない、マイナス思考な…。



「…“ハル”さぁ…もしかしてネガティブ人間?」


「…」


「図星かぁ…」



…逃げたい。この場から。


「…もうそろそろ────」


「俺さぁ、基本人とか嫌ったりしないんだけど…唯一気に入らないのがあンだよね。───“ネガティブな人”…それ俺的に許せれないわけ。」



…たった今、また私は人から嫌われた。


今日初めて会った、この男の人に…。


私は人から嫌われるしかないのかな…?



「…で?私は嫌われてどうすればい───」


「誰が嫌いだって?」



私は振り返った。


「え…」


「“ネガティブな奴は気に入らない”。だからこれから俺が変えてやるよ。お前を。」



変え…る…?


私を?


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