Re:alism
突然の、彼の発言に驚いた。


…とっても。


「何言っ…てんですか…」



昨日メールしただけなのに、

今日会ったばかりなのに、簡単に口に出来る台詞ならきっと─────



『本気だから』


…これも何かの冗談だろう────…。



「…私…本当は今日、時計台の下に…あなたが本当にいるかどうか確認しに来ただけなんです…」


『え…』


「思い出したのは着いた時で…そういえば顔も知らない人どうやって見つけたらって…───でも色々あって、結局会って話したりして…」



『…』


「…楽しかった…。

────だからもう、今回限りで戻りましょう。私がドジらなければ顔も知らない他人同士だった…───その、“日常”に戻…」



『──あんたさぁ…どこまで脳みそ下向いてるわけ?』



先程とは一転、低く怒りが入り混じっている声


「…え…と…」


『さっきから聞いてりゃ〇〇しなければとか過去に戻るだとか…後悔しか出来ねぇのかよ?』



後…悔…?


『確かに言うてる通りだと思う。普通こんなことになるなんて、宝くじ1等…もしくはそれ以上に難しい…てかあり得ねぇし』


「うっ…;;;」


『…でも、それでもこうなったのは、美が間違えてメールして俺が丁度そこに居たからだろ?…それ偶然と同じで“運命”ってンだよ。』



運命…


『だったらこれを受け入れるしかねぇンじゃん?…今目の前の現実は、前しか進む道がないんだから…』



前しかない現実


…そして、進むべき道



< 33 / 109 >

この作品をシェア

pagetop