Re:alism
…何だったんだ今の…


明らか睨まれた…よね?


もしかしてあの先輩が────



ドンッ


「痛っ…てあれ?美じゃん。こんな通行人の妨げになるとこでどうしたの?」



靴を履き替えた万里が後ろから衝突。


「…今さぁ…何かすっ───」


「てか、おはよぅ。」


「あっおは…で、何かすっごい知らない先輩に睨まれて、曽野先輩とられてっちゃって…」


「は?!睨まれてとられて…って何やってんの!やられたらやり返すさぁ!!」



万里は明らか状況を理解していないまま、美の手を引っ張り早歩きを始めた。


「待って!本当に待っ…」


「待たない!素直に譲っちゃうとか…そんなの絶対駄目だって」


「目力…恐いぃ~っ!!」



急に万里の足がピタッ と止まった。


「…目力?」


「うん…凄い睨まれたの。それに多分…あの先輩も曽野先輩のこと…」



何だか分かる気がした。


あんな行動力(目力も)さすがにないけど、私だって…


好きな人が他の女子と話してるの見ると嫌だもん…。



だからあの先輩もきっと…曽野先輩のこと、好きなんだ



「…それ、もしかして朋恵先輩かな…」


「朋恵先輩?」


「うん。中学一緒で今も仲良しなの。“早南朋恵”先輩」


「はやな…その人だっ曽野先輩も言ってた!!」




< 39 / 109 >

この作品をシェア

pagetop