Re:alism
「よぉ…チ美。」


…この声この呼び方は…っ



「…栃村…」



見上げると、そこにはもう2度と会いたくない相手がいた



「…何?」


「何ってこんなとこ座り込んでんじゃねぇよ!邪魔なんだよ邪ー魔っ」



そう言うと丁度捻った部分を蹴ってきた


「痛───っ!…最悪…何こいつ」



私はあまりの痛さに塞ぎ込んだ


「…おい

…おいっ!」



顔を伏せ無反応な私に反応を求める



「…お───」


「痛ーい。もう歩けない。治療費払え」



私は右掌を突き出し、金銭請求を始めた


別に病院行くほどでもないからお金なんていらないし、要求したってこいつが払うわけもない



でも更に奴を恨むことで、少し心が晴れた気になった



「…じゃあおぶってやるよ、あの時みたいに」


「は?!おんぶとか何────」



“あの時”


と言えば、合コンの帰り道だろう



< 59 / 109 >

この作品をシェア

pagetop