Re:alism
「…うっ」


ヤバ…何か泣けてきた


でもあんな奴に泣かされるなんて嫌だから意地でも…


「笑顔を…」



ガッ


「ひ…ッ」



突然腕を掴まれ、叫びそうになった


「美?」


振り返ると


「…祝詞さん」



「何だよお前ーなかなか来ないから心配してたんだぞ?」


「…あ、そっか…ここ駅前…」


「?…どこ行こうとしてたんだよ」


「…駅前の───時計台…」


「プッ何だそれ!…まぁ遅刻は1回までな。今度遅れたら罰ゲーム覚悟しとけ」



祝詞さんはいい笑顔をしていた。


私は─────



「…祝詞…さ…」


「え?…えっ?!どした?何泣いてんの?!」



その表情に安心したせいか、先程まで我慢していた涙が一気に溢れ出した



「うっ…わぁ───…っ」



声を上げて泣いた



祝詞さんはどのくらい困ってたかな?


視界がボヤけて上手く見えなかった



「えっ…どうしよ…とりあえずどこか入ろうか;;;」


私の手を引き、近くの喫茶店に入った


その手はどこか、ちょっと汗ばんでいた


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