Re:alism
「え…えっ?!」


「そーゆーことだよ」



…私は栃村に嫌われてたんじゃなく好かれてたってこと…?


じゃあ今まで


「…それいつの時代…?今時優しくするのが普通だって」



今まで私が過ごしてきた暗い日々は何だったの────?



「あ゛?…っせぇ黙…」


「あんたのその考え方のせいでね…私が今までどれだけ辛い思いしてきたと思ってんの?!」



私がネガティブになったのはあんたのせい


あんたのせいなのに



「今さら何言ってんの…」



───変えられない過去を


全否定された気分だった



「…は?いや…何?何かあったの?」



少しの沈黙に言葉を挟む栃村


あぁ、こいつが私の事情を解るわけもないか。



「…何でもない!!とにかく…あんたの罪は重いからっ」



「…ごめん」


「は?!」



今までからして信じられない一言



「今さら…謝ったって許さないからっ」


「…お前がそこまで嫌がってたとか知らなかったんだよ。だから…許さなくてもいいから、俺のこと見てほしい」



見たことないくらい切ない表情


そして、テーブルに置いていた私の手を正面から両手が覆った


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