Re:alism
「ただいまー…」


恐る恐る玄関のドアを開ける



「…寝てる…っぽい?よかった…」



靴を脱ぎ、室内に1歩足を踏み入れた瞬間


「やっと帰ってきた。今何時だと思ってんの?」



手前の部屋からお母さんがヌッと現れた



「えっ…10時…」


「こんな時間まで何処行ってたの?今日は早く帰るようにメールしておいたはずなんだけど」


「ごめ…ちょっと…とっ友達と話してて…こんな時間になってまして…」


「…。」



明らか怒っているお母さん



「…てか何で今日は早く帰れって──」


「話があるからに決まってんでしょ」


「ですよねー…」



私は下を向き呟いた



少しの後お母さんは小さくため息をつき、私の頭に軽く手を置いた


「───あんまり心配させないでよね」



頭を上げた時には、いつもの優しい表情に戻っていた



「…うん…」


私は心の中で“ありがとう”と言った



「…で何の話だった?」


「あぁ、明日は美の誕生日でしょ?」



わ…忘れてた───!!


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