約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
*
目が覚めた場所は真っ暗な世界。
空を見上げると、
お月様の光がやけに眩しかった。
「花桜?
舞?」
暗闇に手を伸ばして探りながら、
親友の名前を紡ぐ。
さっきまで、
三人で一緒にケーキを食べに行こうって
話してた二人は……そこに居ない。
えっ?
暗闇に視界が慣れ始めた頃、
私の目はテレビの中の見慣れた景色を映し出す。
何?
その場所はまるで時代劇のセットにでも
出て来そうな世界。
肩から掛けた、
鞄の持ち手を握る手に思わず力が入る。
あっ、携帯。
制服のポケットに潜ませてある、
携帯電話に思わず手を伸ばす。
電源は入っているのに、
電波は届いていない。
待ち受け画面の電波レベルを示す
表示は……一本の棒すら立ってなかった。
えっ?
タイムスリップ?
いやいやいや。
そんなの嫌よ。