約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
この場で殺されるか、全てを飲み込んで、
山南さんたちと一緒にその罪を背負うか……。
突きつけられた問の答えは
決まってる。
私はこんな場所で
死ぬわけには行かないんだから。
この世界で生き抜いて、
この世界の大切な人を守って瑠花と舞と一緒に
私たちの世界に帰る。
そう決めてるから……。
生きるための剣を山南さんに教えて貰ってる。
だから……。
「私は今、此処で殺されるわけにはいきません。
私には自分の世界に三人で帰るって夢が
あるから。
だから……、私は今、この場で見たことを
忘れます」
ううん。
忘れるなんて出来ない。
忘れるなんて出来ないよ。
本当なら、今すぐにでも瑠花に……
芹沢さんが殺されちゃうよって駆け込んで教えてあげたい。
壬生浪士組には不必要な人かもしれないけど、
今、この世界で瑠花の支えになってるのは
紛れもなくあの人だってわかってる。
だから……だからね、本当は今すぐにでも
伝えてあげたい。
だけど……私は……瑠花を裏切るよ。
瑠花と一緒に……舞と瑠花と三人で、
絶対に帰りたいって思うから。
その為に……瑠花の大切な芹沢さんを
私は見捨てるの。
「一つだけ……一つだけ……お願いがあります。
瑠花だけは……助けてください。
瑠花も私も、この世界の人間じゃない」
こんな言い方したくない。
山崎さんや、山南さん、土方さんたちも
同じ人間であることに違いないのに、
私たちの三人の命と、この世界の人の命。
その重みが違うような、そんな言い方。
本当だったらしたくない。
だけど……私は、
ちゃんと二人を守らないといけない。
二人を守って私たちの世界に帰るの。
だから……この剣で、
瑠花も舞も……守り通すって決めた……。